税理士法人 杉井総合会計事務所

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今月のトピックス〔2008.6〕 -2008年06月25日

 

 

データで見る経営
研究開発の実施有無で平均営業利益に7倍の開きが!
中小企業金融公庫総合研究所によるレポート「研究開発型企業における中核人材の確保と育成」のなかの「研究開発の実施有無別にみた中小製造業者の平均営業利益」をみると、2005年度は「研究開発を実施している中小企業」と、研究開発を実施していない中小企業の平均営業利益の開きが7倍以上あることが判明しました。研究開発を実施している企業としていない企業との格差は、開きつつある傾向にあります。
この結果から、企業を取り巻く環境の変化による研究開発活動と営業利益との相関関係が強まっていることが推測されます。研究開発は企業戦略において極めて重要な位置づけを占めつつあるといえるでしょう。
また、近年の結果から、研究開発を具体的な成果に結びつけることに成功している中小企業が多数存在していることもうかがえます。
なお、製造業者の従業員に占める研究者の割合(2005年度)は、大企業11.0%、中小企業6.8%。大企業と中小企業との格差があるものの、中小企業でも研究者の割合がここ最近では上昇基調にあります。

今月の数字
中小製造業の6割弱が技能承継に不安!
このほど、中小企業金融公庫総合研究所がまとめた「第193回中小企業動向調査」のアンケート調査「ベテラン従業員の退職等に伴う技能承継について」から中小製造業が直面している技能承継の課題を紹介いたします。
ベテラン従業員の退職等に伴い、技能が失われることに対して「影響がある」「当面影響は小さいが、いずれ問題となる」と回答した企業を合計すると59.7%と6割近くに達しました。
一方「影響がある」と答えた企業のなかで、技能承継への取り組みがうまくいっている企業は29.4%。多くの企業が技能承継に取り組んでいるもののうまくいっていない、もしくは取り組んでいないことが読み取れます。
技能承継がうまくいかない、または取り組んでいない主な理由は次の通り。
「ベテラン従業員の指導スキル・ノウハウの不足」「若手従業員の能力不足」「若手従業員等の不足・採用難」
指導する側のベテラン従業員と、指導を受ける側の若手従業員の双方に問題があることがわかります。

経営Q&A
1.最近世間で話題の「ノー残業デー」を取り入れるべき?
Q:最近、世間では「ノー残業デー」を取り入れている会社が増えているように思えます。当社でも採用しようかと思っているのですが、どのような点に注意すべきでしょうか?
A:まず、社員の反応を考えてみましょう。これまでは「仕事が終わらなければ残業」「残業を見越して仕事を進める」といった空気が社内に流れていませんでしょうか?
「ノー残業デー」というと、トリンプ・インターナショナル・ジャパンの事例が有名です。前社長の吉越浩一郎氏は終業時に強制的に証明を消したり、罰金制度を設けるなど、“残業壊滅”を徹底しました。これと同じことが御社にもできるでしょうか?完全に残業をゼロにすることは、なかなか難しいのが現実のようです。
もし「ノー残業デー」を取り入れるのならば、最初は週に1日だけ設定してみることをおすすめします。この日だけは集中して仕事にあたるようになり、業務効率がアップすることでしょう。そうすると、自然と「ノー残業デー」以外の日も効率的に業務を進めるようになり、全体の帰社時間が早まる可能性があります。
「ノー残業デー」を推進するポイントは、トップや管理職が音頭を取ることです。「今日は残業をしないで帰ります」とは、部下からはなかなか言えません。ボトムアップではなく、トップダウンが原則です。
「残業できないと仕事の時間が減るので、クオリティーが落ち、ミスが出る?」。こう考える方は多いと思います。トリンプの場合は、業務時間が固定されたことで、目の前の業務に集中して取り組むようになり、かえってクオリティーが上がり、ミスが減ったそうです。

2.客数アップと客単価アップはどちらが先?
Q:売上をアップさせる主な方法には、客数を増やすことと、客単価を上げることの2つが考えられます。もし、優先順位をつけるのならば、どちらを先に着手したほうがよいのでしょうか?
A:結論からいうと、客単価を上げることのほうが優先です。なぜなら、客数を増やすことにはコストがかかるからです。例えば小売店ならば、客数が増えると待ち時間が長くなったり、対応に時間がかかったりして、クレームが発生しやすくなります。そうならないためにスタッフを増やすと、人件費がかさんでしまいます。
また、多くのお客さまのニーズを満たすためには品ぞろえの強化が不可欠。在庫ロスが発生する可能性が高まります。客数、従業員数、在庫が増えるとオフィスや店舗の規模も当然拡大。そうすると、場合によっては金融機関から借り入れをしなければならなくなります。ここまでコストが増大すると資金繰りに影を落とすのは必至。「お客さまは増えて忙しいのに、なぜ資金がないの?」となってしまいます。
一方、客単価アップはどうでしょう?既存のお客さまに対して商品をもう1つ買ってもらったり、リピーターになってもらうといった働きかけに関するコストは、増客のコストと比べると、ぐっと低くなります。
簡単な例を挙げると、週に1回、1個500円のチーズを買いに来てくれるお客さまがいるとしましょう。客単価は当然500円。そこで、店頭のPOPを工夫するなどして1000円のチーズを買ってくれるよう努力したら、客単価は1000円になります。
次に「2個買うと、もれなくワインをプレゼント」というような特典をつければ、お客さまは2個買ってくれる可能性があります。すると客単価は1000×2=2000円。さらに、ワインの試飲会などのイベントを開催することで週に2回来店してもらうよう仕掛けたらどうなるでしょう?客単価は2000×2=4000円。客数はそのままでも、ちょっとした仕掛け次第で客単価が何倍にもふくらむのです。
そして、ここで増客です。例えば「紹介キャンペーン」と題して、このお客さまが友人と一緒に来店すると、コストや手間がかからずに済みます。
もちろん、客数を増やすことはビジネスにおいて重要です。しかし、客単価を上げることを先に進めたほうが、成功する確率がぐっと高まることでしょう。

HINT
社長がすべきことは「作業」ではなく「仕事」。
「営業マン」「技術者」の“頭”からステップアップしよう!

中小企業の経営者で、もとから経営者としての勉強を積んできたという人はどれだけいるでしょうか?ほとんどが「営業マン」や「技術者」出身で、スキルやノウハウが高じて独立するというパターンだと思います。独立開業当初の会社の社長は、営業マンもしくは技術者の“頭”というような存在でしょう。やがて顧客が増え、従業員を増やし、売上規模が拡大すると、経営者はある決断をしなければならないそれは「営業マン」「技術者」の“頭”から経営者へとステップアップする決断なのです。

社長よりも優秀なエキスパートを迎え入れたら「経営」を意識
創業当初なら、社長がほかの社員と同様に工場の現場に入り作業をしたり、製品の梱包を手伝ったり、顧客への配達に出向いたりというのは日常茶飯事。しかし、社長がそうした作業に追われていては、会社の劇的な拡大は望めません。
会社の規模がある程度まで成長すると、経理、総務、IT、マーケティングなど、特定の分野において社長よりも優れたエキスパートを迎え入れなければなりません。ここで社長は経営者になる決断をするときに差し掛かります。社長は経営者として自社の経営を意識する必要があるでしょう。それはなぜか?「営業マン」「技術者」の“頭”と経営者とでは、業務内容が異なるからです。

「仕事」=「儲かる仕組みを考えること」
経営者の仕事とは何を指すのでしょう?簡単にいうと「儲かる仕組みを考えること」です。効率よく稼ぐビジネスモデルと、それを実現するための戦略・戦術を考えることが社長に与えられた使命なのです。極端なことをいうと、作業には代わりの人員が存在します。しかし、社長の仕事は社長でないとできません。このことを肝に銘じておきましょう。
「従業員が大変そうだから」「ちょっと時間があるから」と従業員の作業を手伝いたい気持ちはよくわかります。しかし、会社をさらに成長させたいなら、「作業」の手助けをぐっとこらえて、儲かる仕組みを考える「仕事」にエネルギーを傾けましょう。

経営者インタビュー
黒字経営の実現に必要な、トップの経営マインドとは?
− 黒字経営のポイント(後編その2) −

“ものづくり”はまず、お金ありき。黒字経営の実現、利益の創出は開発に打ち込むための条件です。」国内シェアナンバー1のグループウェアを開発するサイボウズ株式会社の創業メンバーであり、現在は代表取締役に就任している青野慶久はこう語る。その青野氏に、“メーカーの経営”という観点から見た黒字のポイントについて話を聞きました。

−創業初年度から黒字決算を実現されていたそうですが、そのポイントは何だったのでしょうか?
1997年8月に私を含めた3人で会社を設立し、10月からソフトウェアの販売をスタートしました。当時は広告費を月に100万円ほどかけていましたが、それ以外の諸経費を切り詰めることで、売上が200万円に達した12月時点で黒字となりました。このときの経験から学んだことは、「儲けた分以上は使わない」ということです。以来、売上高をコントロールすることはできませんが、コストはいくらでもコントロールできると考えています。

―黒字経営でなおかつ利益を出すことを追求されていますが、その理由は何ですか?
私は元来技術者なので、本音を言うといろいろなソフトを自分で作りたいんです。開発メンバーを増やして、あれもこれもと手を広げたくなる気持ちに駆られるときもあります。しかし、開発費がかさんで売上よりも大きくなると当然赤字になって、製品開発どころではなくなります。もっと作りたければ、もっと利益を出さないといけません。メーカーは製品開発が生命線。だから、利益こそが重要ですよね。

―技術者たちを鼓舞する目標の掲げ方を教えてください。
社長に就任した当初に「売上60億円」という目標を掲げました。連結ベースでは達成しているのですが、単体では40億円という結果でした。ところが、「1万人が動かせるソフトを作ろう!」という目標を掲げたところ、開発サイドの目の色が変わり、現場が盛り上がりました。技術者は「60億円」という売上数字よりも「1万円」というユーザー数のほうに食指が動いたんですね。「いいもの作るぞ!」という方が技術者にとっては分かりやすいのでしょう。技術者には技術者のための目標やビジョンを示すことが大事なのだと教えられました。
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