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2025.8.1 | 2025年税制改正と「年収の壁」 | 税制改正 |
コラム掲載日:2025年8月1日
「年収の壁」とは、収入が一定額を超えると税金や社会保険の負担が増えるラインのこと。特に「103万・106万・130万・150万」など、いくつもの“壁”が存在します。
2025年の税制改正では、所得税がかからないラインが「103万円→160万円」に実質引き上げられました。これにより、より幅広い年収でも非課税の対象になる可能性があります。
ただし、社会保険の「106万円の壁」「130万円の壁」は今回の改正対象外。税と社保では制度が異なるため、それぞれの“壁”を正しく理解することが大切です。
また、今回の改正は所得税のみで住民税は変わっていません。年収100万円を超えると住民税がかかることになります。
「年収の壁」は税金だけでなく、社会保険(健康保険・厚生年金)にも関係します。多くの人が気にするのが「106万円の壁」と「130万円の壁」です。
130万円を超えると、パートやアルバイトでも社会保険に加入が必要になることがあります。
ただし、勤務先の規模によってはそれより早く加入が必要になる場合があります。
たとえば、従業員101人以上の企業で週20時間以上働き、年収が106万円以上ある場合などが対象です(学生を除く)。
さらに、今後の年金制度改革では「106万円」という年収要件の撤廃や、従業員100人以下の企業でも同様にパート・アルバイトの方の加入範囲が広がる事が検討されています。
今年の改正で年収160万円までは所得税がかからなくなりました。ここで注意したいのが、「年収160万円までは、所得税もかからないし、家族の扶養に入れる」と勘違いしてしまう点です。
家族の扶養に入れるラインは改正前が年収103万円で、今回の改正で、このラインは「123万円」にしかなっていません。
ただし、大学生等(19歳〜23歳未満)の子は、年収が123万円を超えても、年収150万円までは親は63万円の扶養控除が使えます。
また、年収150万円を超えても控除額がすぐ0にはならず、段階的に控除額が減っていき、年収188万円を超えると0円になります。
「年収150万円を超えると、夫の税金が増える」——。この“150万円の壁”という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
この制度は、配偶者控除(配偶者の収入が103万円以下の場合)と、配偶者特別控除(103〜201万円までの収入に応じて段階的に控除)の仕組みによるものです。
2025年の改正により、所得の計算方法が変わり、年収160万円前後までであれば控除の満額(38万円)が受けられるケースが増えました。
ただし、配偶者特別控除を受けられる最大ライン(年収201万円)については、今回変更はありません。配偶者特別控除を受けられる範囲は狭くなったこととなります。
今回の税制改正で大きく見直されたのは「税金に関する壁」です。特に「103万円の壁」「150万円の壁」に該当するケースに影響があります。
基礎控除・給与所得控除が引き上げられ、本人の所得税がかからないラインは160万円まで拡大しました。
また、扶養控除の判定基準も一部緩和され、「103万円超でも扶養対象になる」ケースが広がりました。
ただし、社会保険の「106万円」「130万円」の壁には今回手が入っておらず、制度全体を正しく理解しておくことが重要です。