M&Aで買収した株価の70%が損金算入可能!投資損失準備金制度とは

コラム最終更新日:2024年8月15日

事業承継・M&Aコラムその他最新情報

M&A(企業買収・合併)は、企業の成長戦略としてますます重要な手段となっていますが、その一方で、買収による投資が企業の財務に与える影響をどう軽減するかは、非常に重要な課題です。そこで注目したいのが「中小企業事業再編投資損失準備金制度」(以下、準備金制度)です。この制度をうまく活用することで、M&Aで取得した株価の70%を損金として計上できる大きなメリットがあります。

準備金制度とは?

準備金制度とは、経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、その計画に基づいてM&Aを行った場合、投資金額の70%以内の金額を準備金として積み立て、これを費用として計上できる制度です。この準備金は、M&Aを行った事業年度の翌事業年度から5年間据え置き、その後5年間で均等に取り崩す必要がありますが、M&Aを行った事業年度において大幅な税金の軽減効果を期待できるため、買収時の財務リスクを軽減するのに非常に有効です。

準備金制度適用の流れ

注意点

【経営力向上計画の事前作成が必要】  

  M&Aの最終契約や決済を行う前に、必ず経営力向上計画の認定を受けておく必要があります。この認定には通常、23週間ほどかかりますので、M&Aの基本合意契約の締結が進みそうな段階で、早めに計画作成を始めることが重要です。経営力向上計画の作成に関しては認定支援機関(税理士・会計事務所・金融機関など)に依頼すれば比較的簡単に作成することができます。

 

【デューデリジェンス(DD)の実施が必須】

  計画書認定の際に「事業承継等事前調査チェックシート」の添付することとなっており、必ずDDの実施が必要です。チェックシートに記載されている項目(財務・税務及び法務)に関する内容であれば自社で実施するDDも対象となりますが、確認書交付の際に士業等の有資格者によるDDでは無い場合は作成したDDレポートとチェックシートとの関係を示す書類の添付が必要となります。

まとめ

中小企業事業再編投資損失準備金制度を活用することで、M&Aにおける財務リスクを大幅に軽減することが可能です。この制度の適用を受けるためには、経営力向上計画の認定やデューデリジェンスの実施が必要ですが、しっかりと準備を進めることで大きなメリットを享受できます。

弊社では、税理士法人として認定支援機関に登録しており、経営力向上計画の作成支援が可能です。また、グループ会社でのデューデリジェンス業務も行っており、ワンストップで準備金制度の適用をサポートいたします。M&Aを通じて企業の成長を目指す方にとって、この制度は大きな財務リスク軽減策となりますので、ぜひ積極的にご活用ください。



【コラム執筆者】

社員税理士 杉井秀伍

プロフィール:2016年4月より1年間、大手M&A仲介会社に出向、中小企業M&A業務の実務を経験する。その後税理士法人杉井総合会計にて税理士登録。日本最大のネットマッチングサイト「バトンズ」にて2020年ベストアドバイザー賞を受賞

保有資格:税理士、M&Aシニアエキスパート

支援実績等:学習塾事業・調剤薬局事業・旅客運送事業・金属加工業  等


お問合せ

当社では事業承継・M&Aに関する無料相談を実施しております。

オンラインによるWEB面談にも対応しておりますので、お気軽にお申し付けください。